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by haruna-naoaki
2012年 10月 24日
消費税に頼らず社会保障を充実させ財政を立て直す道
 私が10月12日の「消費税をなくす高知県の会」総会で行なった学習会「消費税増税に頼らず、社会保障を充実させ財政を立て直す道」のレジメを紹介します。参考まで。

「消費税増税に頼らず、社会保障を充実させ財政を立て直す道」                   2012年10月12日 常任世話人 春名なおあき
はじめに
 ○「消費税増税は困る、しかし孫子のことを考えると後に借金を残したらいけないからしかたない」「財政を立て直すのは消費税しかないのではないか」「社会保障を支えるためにはやむをえない」―少なくない国民がこう思わされている。
 ○「増税の前にやることがある」では、無駄遣い(それも国会議員の削減など)を削れば、その後は増税はやむをえないという道にはまり込む。そうではない別の道がある。
 ○「消費税増税ストップ 社会保障充実 財政危機打開の提言」(日本共産党)は、消費税増税に頼らず、社会保障を充実していく道があることを財源の裏付けをもって明らかにしている。

■全体の考え方
1、二段階で社会保障を支え充実させる道を示した。その財源も「応能負担」の原則で二段階で生み出していく。
2、経済改革を同時にすすめ経済規模を大きくしていくことで税収をふやし借金も相対的に減らしていく。


■第一段階―壊された社会保障をもとに戻す。そのための財源は、無駄遣いの一掃と大企業・大金持ちに能力に応じた負担をしてもらう

⑴壊された社会保障を元に戻す―「社会保障再生計画」
〇具体的な改善点
*年金―受給資格を25年から10年へ、マクロ経済スライドという自動削減の仕組みを中止し減らない年金へ、加入10年以上のすべての人に国庫負担3、3万円を支給し低年金の底上げへ。
*医療―窓口負担軽減(子ども無料、現役2割、高齢者1割)、高すぎる国保をさしあたり一人1万円引き下げる。
*介護―低所得者の利用料免除、40万人の特養待機者の解消へ施設の増設、介護労働者の待遇改善
*保育―30万人の待機児童解消へ認可保育所を増やす。
〇かかる財源は約9兆円。

⑵財源
〇浪費の一掃で3、5兆円
*50兆円だった公共事業はいま20兆円へ。それでもダム、港湾、空港、新幹線などの無駄がある(八ッ場ダム、整備新幹線、東京湾外環道路など無駄遣いが次々復活)。約1兆円程度の削減は可能。
*軍事費はさしあたり1兆円削減。米軍への思いやり予算3000億円、ヘリ空母、F35戦闘機など。
*4200億円の原発予算のうち推進経費3000億円を削減。
*政党助成金(320億円)をただちに廃止。国会議員520人分の削減効果。
*「経済危機対応・地域活性化予備費」(9100億円)は、エコポイント、エコカー減税など自動車業界、家電業界を潤わせるためのもの。大幅削減を。
*「特別会計」の無駄について-ダブりを除くと200兆円程度の予算規模だが、うち地方交付税、社会保障給付、債務元利払いなど削れないものもの多い。削減対象になる「その他」の経費は10兆円。うちある程度削減が可能。

〇大企業・大金持ちにふさわしい負担をー8兆~11兆円
*年間所得1億円を超えると所得税の負担率が下がっていく。なぜ?-「証券優遇税制」(株式配当、株式譲渡益にかかる税金がわずか10%)と「所得税の最高税率の引き下げ」が二大原因。
*「証券優遇税制」の是正―10%を本則の20%に戻す(0、6~1、7兆円増収)
*「所得税」―最高税率の見直し減税前の65%に戻す(0、7~0、8兆円増収)、
*「相続税」―最高税率を70%へ戻す(0、4~0、7兆円増収)。
*トヨタの豊田社長。年間役員報酬1億3500万円、457万株の自社株保有、配当2億円。税・社会保険料の負担6900万円で負担率20、2%。トヨタ社員の平均年収727万円で税・社会保険料保険負担は167万円、負担率は22、4%。
*「富裕税」の創設-相続税の評価額で5億円を超える資産を持つ富裕層に対し、5億円を超える部分に1~3%の累進課税をおこなう。年間約6万人(世帯数の0、1%)だが、資産総額は60兆円、5億円を超える部分の資産だけでも30兆円にのぼる(0、5~0、7兆円の増収)
*高給サラリーマンの社会保険料引き上げ―厚生年金保険料は月給62万以上が同額。健康保険料、介護保険料は月給121万円以上は同額。高額サラリーマンに甘い。これを累進に(2、2兆円の増収)。
*「為替投機課税」を新設―投機マネーを規制する手段としても有効。日本市場での一日平均取引高は3013億ドル(2010年4月)。年間では6000兆円の為替取引。ここに0、01%の定率の為替投機課税を行なえば、それだけで0、6兆円の増収。
*「環境税」の導入―二酸化炭素の排出量を考慮した税。0、7兆円程度の増収。仮に全額が消費者に転嫁されてもその負担は一人当たり月コーヒー1杯程度。
*大企業優遇税制の是正―日本の法人税は名目では40%で欧米とそん色ないか少し高い率。ところがさまざまな優遇制度によって実質の税負担はこじゃんと低い。法人税の実効税率の5%引下げを中止する(1、4兆円の増収)。研究開発減税の中止(0、2~0、5兆円の増収)、外国で払った税金を控除する「外国税額控除」、海外子会社からの配当を非課税にする制度など、優遇制度全体の見直しによって合計1、3~1、6兆円の増収。

■第二段階-ヨーロッパ水準の社会保障の充実。そのための財源は、所得税の能力に応じた負担をすすめ国民全体でまかなう
⑴ヨーロッパ水準の社会保障制度に踏み出す
〇最低保障年金制度(月5万円)の創設に踏み出す(資料④)。
*日本の年金の一番の問題点は低年金、無年金の解決。国民年金40年満額で6、6万円、平均で4、7万円。無年金は100万人以上に。
*月5万円全額国が負担する最低保障年金制度を創設し、納入保険料に合わせて上乗せする。現在40年で6、6万、うち国3、3万、保険料3、3万。この国3、3万の部分が5万になるので合計8、3万円へ。老後はだれもが「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を営む権利が保障されるべき。生活保護との格差も最低保障年金の創設で解決されていく。月5万の最低保障年金に必要な予算は約5兆円。
〇すべての世代で医療費の窓口負担の無料化へ徐々にふみだす(3兆円)、介護保険の利用料を無料にする
*ヨーロッパ各国は当たり前の制度

⑵所得税の累進性を強化して財源を生み出すー約6兆円
〇所得税の課税所得に対して、1、5%~15%の税率を上乗せする。
*なんでも大企業、大金持ちの負担、ではやっていけない。ヨーロッパ水準の社会保障を実現するためには国民全体で支えることが必要。そのさい低所得者に重く大企業にやさしい消費税ではなく、所得税の累進性を強めることで賄う。
*低所得者の場合―所得税率現在5%、1、5%の上乗せがされることになりいま負担している所得税の3割増し。年収400万の夫婦共働きの場合課税所得150万円、いまの所得税は7、5万円。約2万円くらい増税になる。一方消費税が5%上がった場合10万以上の増税で、所得税の方がはるかに低い税負担になる。
*この改革は2020年前後以降。それまでに経済改革で賃金も上昇していることが前提。1%の賃金アップがあれば年収400万の世帯は、年収441万円になっている。その増加した分の一部を所得税として納めるのです。可処分所得(収から税・保険料を差し引いて自由に使えるお金のこと)が増えることを前提にしている。
*課税最低限を引き上げることもすすめる

■国民の懐をあたためる経済改革を同時並行ですすめ、借金を相対的に減らし税収をふやす
⑴内需主導で経済を健全な成長の軌道に
〇民所得をあたためる対策がいそがれる
*97年から2011年までの14年間で、サラリーマン世帯の平均で、世帯収入が102万円、可処分所得が92万円も減り、そのために年間消費支出が59万も減ってしまった(資料⑬)。
*ものが売れない→デフレ(物価の下落)が続く→売り上げが落ちる→賃金も下がる→また売れない→デフレ、と悪魔の循環に陥っているのが日本経済。
*日本経済の6割は個人の消費、みなさんの日々のお買いものとそれに必要な生産。いわば個人消費こそ日本経済のエンジン。ここをあたためないと経済は活発にならない。

〇大企業の内部留保の活用を
*一方で大企業の内部留保は膨大に膨れ上がっている(資料⑭)。資本金10億円以上の大企業では95年度134兆円が、2010年度には261兆円に急増。
*その原因は賃金引上げ、下請け企業の単価たたきでコスト削減をすすめたため。いわば青年、国民の犠牲によって積み上げられたもの。国民に還元するのは当然。

〇経済改革の眼目と内容
*人間らしく働くルール-非正規雇用を正規雇用に。正規と非正規の不当な差別はなくす。法律を改定し、大企業がいっせいに実行しなければならい事態をつくる。最低賃金を全国一律1000円以上に引き上げる。中小企業への賃金助成をいったいに。
*中小企業と農業、環境―公正な取引ルールを確立する。中小企業予算を1兆円程度にふやし技術開発や販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融などの支援を抜本的に強化する。TPP参加を許さず、価格保障・所得補償をしっかりおこなう。原発から撤退し自然エネルギーへの転換を図ることは地域の雇用と経済の活性化へ大きな支えになる。
                                                以上
by haruna-naoaki | 2012-10-24 23:19